極茶人の茶園の中でも特別に条件の良い【手もみ茶専用茶園】八十八夜の頃、冬の寒さに耐えた硬い葉を開いて出てきたやわらかく繊細な新芽は、熟練者たちの手により先端の新と呼ぶ部分と小さな二枚の葉だけを、指の腹を使って丁寧に折り摘みする。爪を使って傷つけると酸化が速まり品質が落ちるからだ。そして新鮮な香りと鮮やかな緑色を残すように、出来るだけ速やかに蒸す。蒸した葉は、焙炉(ほいろ)という熱源を持った台の上に助炭(じょたん)と呼ばれる和紙を貼った木枠を載せ、その上でもんでいく。静まり返った茶部屋で神経を研ぎ澄まし五感を駆使しながら、それは進められる。常に同じ温度、湿り具合でもんでいかないと上質なお茶にはならない。まさに真剣勝負である。優秀な茶師は【茶心】(最良の揉み心地)が分る。何十年もの間、しびれるような原料で鍛錬しなければ得られない【究極の感覚】だ。