2005年1月2日朝、茶工場の軒下にぶら下げた寒暖計は設置してからの最低、氷点下9℃を記録していた。後で聞いた普及センターの調査結果では氷点下17℃を記録した圃場もあったそうだ。この年の冬は早々と土壌に形成された凍結層により、根群の浅い定植一年生の幼木園や樹勢が低下していた茶園では寒干害が発生した。そんな中、我が家の幼木園はトンネル被覆のおかげで被害を免れることができた。遮光により昼夜の温度差が少なくてすんだことと北風による乾燥から守られたからだ・・・

 日本における茶の栽培適地は年平均気温が14℃から16℃、降雨量1300ミリ以上・・・日本茶インストラクターのテキストにはそう記されている。これを見れば現在の茶産地は、そのほとんどが栽培適地ということになるが平均気温からは環境の厳しさのすべてを見ることはできない。温暖化によりミカンまで栽培可能な静岡県並の気象条件になりつつあるといわれている埼玉県も、前出のように冬の極温により枯れてしまうことさえある。数日の寒波や、たったひと朝の晩霜といった地球の不機嫌によりすべてを失うのが茶の栽培なのだ・・・

 狭山茶の中心産地、関東平野の西の端にある入間市金子台地は栽培条件からは決して適地とはいえないだろう。そのイメージは逆にへき地だ。それでも、ここでしかできない魅力があるのなら適作と信じ防寒にも汗を流すのだ・・・

二煎目 へき地適作