四煎目 造詣を深め造形を理解する

 梅雨も明け、二番茶の製造を終えた生産者の仕事は照りつける日差しと格闘しながらの翌春に向けた茶園管理が中心です。

 近代的な管理をされた茶園は等間隔の畝を並べ、そしてそのほとんどは機械で摘み取られるために「かまぼこ型」の形状をしています。もちろん機械で摘むための茶園であっても人の手で摘むことは可能です。この「はさみ摘み仕立て」のほかに、わずかですが「自然仕立て」という人の手でしか摘むことのできない形状の茶園があり、品評会用など極上の原葉を確保するために特別の管理をしています。一般的には一番茶を摘み取った後、地上20・30cmのところからバッサリと刈り落とします。半年かけて1m以上も枝を伸ばします。収穫する新芽の最良と思われる状態を目指し着葉数や節間、葉の大きさなどもイメージし、おおらかな生長をするように管理します。ハイエンドな茶を作るための準備はなんとも作り手のセンスを問われているような気さえします。

 デザイン画のように作り上げる自然仕立ての茶園は、ビシッと型にハマッたテーラード風のはさみ摘み茶園とは趣を異にした美しさがあります。その美しさは名前とは違い決して自然ではなく、はさみ摘み仕立てと同じように人の手による造形美だということが分かります。もっとも育てる身になれば、思い通りにならないことばかりで自然を痛感させられるのですが・・・