八煎目 お茶屋の重圧

 「毎日お茶を飲む我が家の子供たちは虫歯が一本もありません!」今は高校生になった彼らが未だ小学生のころ、ちょうど日本茶インストラクターになったばかりの私が、ある雑誌の取材に答え記事になったものです。それまで夫婦協力して毎日の仕上げ磨きを欠かさずにしたことも大きな要因だと思いますが、お茶屋として、日本茶インストラクターとして茶の機能性を伝える立場を考えれば、こういった事実が身近にあるのは説得力があります。もちろん自らそれを実証できれば一番なのは言うまでもなく、普段からたくさんのお茶を飲んでいる私(達?)は、真夜中のテレビショッピングのように人並み以上に健康でなければなりません。

 お茶を飲む習慣のある地域では癌の罹患率が低いというデータがあるようですが、お茶屋だってがんで亡くなる人もいればほかの生活習慣病で苦しむ人もいます。さまざまな因子が病へと誘引するのですからお茶を飲んでいるだけで防げるわけではありません。健康には規則正しい生活を送ることが何よりも大切だといわれます。しかしお茶屋の仕事は見事なくらいに不規則で、特に製茶期間中は徹夜など当たり前、自分の製茶期を振り返っても72時間連続入浴時以外工場内滞在というような考えられない経験もあり、とても身体を思いやっているとはいえません。仕事ならまだしも、年齢的にも役職やいろいろな付き合いなどをそれなりにこなさなければならず、どうしても身体のことは二の次になります。これを書くのも夜中から朝方ですし時間もかかります。しかも夜更かしの挙句に夜中の飲食では不健康一直線!!メタボ予備軍といわれても当然です。

 こんな生き方で本当に茶の素晴らしさが伝えられるのか怪しいところですが、自分は自分のペースで無理をお茶にカバーしてもらいながら健康を維持していくしかありません。今でも虫歯ゼロの子供たちに負けないように・・・